前回は意外に知られていない交通ルールについて紹介しましたが、今回は高速道路編を紹介していきましょう。高速道路にも当然交通ルールが存在しますが、周知されていないルールもたくさんあります。
あらかじめ覚えておくことでいつの間にか犯してしまっていたルールを知ることができますので、考え方や運転方法の改善として参考にしてみて下さい。
意外と知らない、でも知らないと違反になってしまう交通ルール(高速道路編)
【1】燃料切れを起こす(高速自動車国道等運転者遵守事項違反)
高速道路上で燃料切れを起こすことは、高速自動車国道等運転者遵守事項(道交法第七十五条の十)違反となります。
※電気自動車の場合は電欠といわれることも。
基本的に、JAFもしくは加入している保険会社へ連絡し給油に来てもらえば解決することが多いですが、高速道路上に停車してしまった場合や、非常駐車帯に停車している時に運悪く(?)警察に見つかった場合は、違反切符を処理されることになるでしょう。
罰則 違反点数1点、反則金9,000円(普通車)
【2】高速道路上に停車する(停車及び駐車の禁止違反)
高速道路上に車を駐停車することはもちろん違反です。
というより、誰も好き好んで停める人などまず居ないでしょう(そもそも危険なことこの上ないので絶対やめるように!)
それよりも見落としがちなのは、非常駐車帯*1へ駐停車することです。特別な事情もなく停車することは停車及び駐車の禁止(道交法第七十五条の八)違反となります。
文字通り、非常(緊急)の自体がない限り駐停車してはいけません。
非常駐車帯を使用する場合のOK例、NG例を以下にあげます。
非常駐車帯使用のOK例
①事故による停車
②故障・トラブルによる停車(燃料切れ含む)
③急な発病・発作による停車
④地震発生など災害回避のための停車
⑤警察の指示による停車
など
非常駐車帯使用のNG例
①休憩・仮眠のための停車
②携帯電話・スマホ操作(通話)のための停車
③トイレのための停車
④ナビ操作のための停車
⑤積荷の確認のための停車
など
非常時に使用する場所で、自己都合による使用は禁止されていると覚えておくと良いでしょう。
罰則 違反点数1点、反則金9,000円(普通車)
【3】時速50km未満で走行する(最低速度違反)
高速道路を走行するにあたって最低限出しておかなければならない速度があります。
それは時速50kmです。
これを下回った速度で走行すると、最低速度(道交法第七十五条の四)違反となります。
違反条項は異なりますが、逆スピード違反になるイメージです。
あまり周知されていないのは、専用の標識があるにも関わらず掲げられていないためでしょう。
(上記画像の標識がそうです。速度標識に下線が引かれているのが目印で、激レア標識としてある意味有名)
初心者や普段運転をしないサンデードライバーなどが、たまの高速ということでおっかなびっくりノロノロ運転をしていると、いつの間にか50km未満で走行していることがあります。
十分注意するようにして下さい。
なお、首都高速や阪神高速など、一部の都市高速は例外です(自動車専用道路扱いのため)。
罰則 違反点数1点、反則金6,000円(普通車)
【4】追い越し車線を走り続ける(車両通行帯違反)
「前には全然車もいないし、いてもどうせまた車線変更して追い越すし、面倒だからこのままずっと追い越し車線走っちゃお。」
というのも、NG行為です。追い越し車線を理由なく走行し続けることは、車両通行帯(道交法第二十条の三)の違反となります。
追い越し車線は、走行車線の前方車両を追い越す時にのみ走行するところなので、追い越し後に走行車線に戻れる余地がある場合は、速やかに車線変更するようにしましょう。
走行車線に追い越す車がいる限りは問題にはなりません…が、次項の「追いつかれた車両の義務」もあるので、都度、ルームミラーで後方車両がいないかどうか確認するようことが大事です。
罰則 違反点数1点、反則金6,000円(普通車)
【5】後続車に車線を譲らない(追いつかれた車両の義務違反)
前項の車両通行帯違反と併せて気を付けたいのが、他の車両に追いつかれた車両の義務(道交法第二十七条)違反です。
追い越し車線を走っている場合において、後続車が更に速い速度で迫ってきていることに気付いたら、走行車線に入るなどして進路を譲る義務があります。
※ただし、走行車線に自分の車より遅い車が何台も連なって走っているなど、車線変更が難しいと判断される場合はこの限りでありません。
意図して譲らない行為は違反となるほか、後続車をイライラさせ無用なトラブルやあおり運転を誘発することになるなど、良いことはまったくはありません。後続車を確認し、走行車線に入れる余裕があると判断したら、速やかに車線変更するようにしましょう。
罰則 違反点数1点、反則金6,000円(普通車)
【6】左車線から追い越す(追い越しの方法違反)
前項に通じるところもありますが、
「追い越し車線を走行している車が遅い!」
という理由で、空いている左側の走行車線から追い越すのも立派な違反行為です。
3~4車線ある高速道路では、追い越し車線が混雑しているのに走行車線は空いているという状況がままあり、あちこち車線変更しながら追い抜いていく車を見かけます。
しかし、これらは全て追い越し方法(道交法第二十八条)の違反となります。条文は以下通り。
(追越しの方法)
第二十八条 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
ということで、車を追い越す場合は、右側からが大原則となっているのですね。ここが、意外と知られていないポイントです。
違反点数も2点と結構重いので、もし、先を急いでいたとしても、落ち着いた運転を心掛けるようにして下さい。
罰則 違反点数2点、反則金9,000円(普通車)
「追い越し」と「追い抜き」の違いは?
せっかくなので、追い越しと追い抜きの違いについて解説しておきます。
- 追い越し ⇒ 進路(車線)を変更して前方車両の前へ出ること
- 追い抜き ⇒ 進路(車線)を変更せずに前方車両の前へ出ること
これにより、走行車線を維持した状態で追い越し車線にいる車の前に出ることは、違反にはなりません。
(まぁ滅多にできることではないですが…)
【7】前方車両と車間距離を詰める(高速自動車国道等車間距離不保持違反)
適正な車間距離を保つことは高速道路に限らず一般道でも同じですが、高速道路上での車間距離不保持には、更に厳しい専用の罰則が用意されています。
それが高速自動車国道等車間距離不保持違反(道交法第二十六条)です。
高速走行していると、万が一急ブレーキを踏むような事態に遭遇した場合、完全に停止するまでの必要距離が長くなります。
前方車両との距離が足りないとブレーキが間に合わなくなり、高速走行も相まって一般道よりも重大な事故になりかねません。
また、前方車両へ恐怖心を与えてしまうことにもつながります。
適正距離をしっかり把握し、事故を起こさないためにも十分な車間距離を保つよう常に意識を持ちましょう。
罰則 違反点数2点、反則金9,000円(普通車)
速度に対する適正な車間距離は?
各速度における適正な車間距離は以下通りです。
※タイヤの状況や荷物の積載状況によっても変化するので、あくまでおおよその目安として考えるようにして下さい。雨の日は、停止までに必要となる距離が更に伸びます。
速度 | 適正車間距離 |
60km | 44m |
70km | 58m |
80km | 76m |
90km | 93m |
100km | 112m |
なお、高速道路には、車間距離確認用の標識が定期的に設置されています。確認基点(0点)看板から40m毎にラインが引かれているので、そのラインをもとに、前方車両との距離を適宜確認するようにしましょう。
【覚えておこう】高速道路に乗る前に知っておいてほしいこと
燃料残量警告灯が点灯したらガソリンは残り何リッター?
最初の項目でご紹介した燃料切れについて、ガス欠が迫ると燃料残量警告灯が点灯します。
できることなら点灯前に給油するのが望ましいですが、では、警告灯は残り何リッターになると点灯するのか?
答えは、メーカーによります(答えになってない)。
…ハイ、スミマセン。しかしながら、警告灯が点灯する時のガソリン残量と車の実燃費を予め把握しておくことで、いざ点灯したタイミングでガソリンスタンドまで持つか持たないかの判断、持たない場合は途中のインターチェンジで1度降りる覚悟をすることができるようになります。
試しに、私が乗っている(かつて乗っていた)クルマと、国民的な代表者であるプリウスの燃費を調べてみました。
※年式は直近のものを採用。
- SUBARU BRZ(2021年式)
⇒残量7リッター以下で点灯 - SUBARU フォレスター(2021年式)
⇒残量9リッター以下で点灯 - TOYOTA プリウス(2018年式)
⇒残量6.4リッター以下で点灯
この通り、同メーカーですらマチマチです。(特に取り決めもないためこうなっているみたいです)
私の現在の相方フォレスターは、9リッター以下で点灯となっています。
これに対し、1リッターあたりの実燃費は11リッターくらいなので、もし警告灯が点灯した場合、残り約99km走行が可能であると算出することができます。
残量残量警告灯の仕様は、車の取扱説明書に記載されています。
⇒車を購入した時に必ず付いてきます。レンタカーやリースの場合は付属されていない場合もあるので、その際は店員へ聞くかネットで調べてみましょう。燃費の実績値は、スピードメーターのパネルにAVG(アベレージ:平均値)として表示されます。
※ボタン等による操作が必要となる場合があります。
これらのことを事前に知っておけば、警告灯が点灯したからといってもすぐに慌てることなくなり、落ち着いてガソリンスタンドを目指すことができるようになるでしょう。
ただし、過信は禁物。余裕をもった燃費管理を心がけることが重要です。
車が故障した⇒路肩に停めたのですぐ逃げよう、はちょっと待って!
車が故障やトラブルによって高速道路上に停車しなければならない場合、うまく路肩や非常駐車帯に停められたとしても、それで終わりではありません。
「後続車からの追突の危険もあるし早くガードレール外に逃げたい!」
という気持ちは分かりますが、まずは落ち着いて、三角表示板を取り出し、発煙筒を焚いて後続車へのアピールします。
むしろ、三角表示板は設置を怠るとそれはそれで違反になりますので、有事の際には必ず設置するものであることを覚えておいて下さい。
ただし、表示自体は義務付けられているにも関わらず車への搭載義務はないというまさかの謎ルールとなっているので、普段から載せていなくてもそれ自体に問題はありません。
もし、持っていないことが分かった場合は、いざという時のために購入しておきましょう。
⇒三角表示板は、車のラゲッジルーム(トランクルーム)のカーペット下に収納されている場合が多いです。
なお、緊急停車時にけるお作法については、JAFのクルマなんでも質問箱に専用ページがあります。図とともに説明されているので非常に分かりやすく、一見の価値あり。
まとめ
今回は、意外と知られていない道交法の高速道路編と、高速道路に乗る前に覚えておいてほしい項目を紹介しました。
知らないと違反になってしまう道交法をおさらいしておきましょう。
- 燃料切れを起こす(高速自動車国道等運転者遵守事項違反)
- 高速道路上に停車する(停車及び駐車の禁止違反)
- 時速50km未満で走行する(最低速度違反)
- 追い越し車線を走り続ける(車両通行帯違反)
- 後続車に車線を譲らない(追いつかれた車両の義務違反)
- 左車線から追い越す(追い越しの方法違反)
- 前方車両と車間距離を詰める(高速自動車国道等車間距離不保持違反)
知らなかったでは済まされないのが法律ですので、これを機に是非覚えておきましょう。また、一般道中心の意外な道交法も以下の記事で紹介してますので、併せて見ていただけると運転の意識が更に高まります。
【要注意!】幼児等通行妨害?知らないうちに違反してしまっている意外な交通ルール
高速道路上では一般道と比べ車の速度が圧倒的に早くなるため、無茶な運転やトラブルは、重大な事故につながる可能性が高くなります。
渋滞に遭遇した場合、誰もが「え~…」となりますが、その原因のほとんどが人の車の操作によるものです。
自身が事故や故障を起こし「え~…」と言わてしまう立場にならないよう、ひとりひとりが日頃の車のメンテナンス・管理と安全運転を心がけてもらえればと思います。
それでは、引き続き楽しいカーライフを過ごしていきましょう。
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